
【気になるシリーズ】介護疲れの相談について
介護疲れ 相談
【まとめ】
介護がはじまると、様々な悩み事や困り事が発生します。
在宅介護の場合、精神的にも身体的にも負担が大きく、このようなつらい気持ちがいつまで続くのかと不安に思うこともありますが、どのような症状もいつか終わりを迎える日は来ます。
悩んだ時や困ったときは、強がらずに周囲の人に頼りましょう。一人で抱え込むのはよくありません。
家族や友人などに話を聞いてもらうだけでも、気持ちが少し軽くなるはずです。
弱音や愚痴を吐くことは決して悪いことではありません。
自分の感情を整理するためにも効果的です。
介護を全て一人で抱え込まず、誰かに相談してみましょう。
相談先では、話を聞いてもらえるだけでなく、適切なアドバイスをしてもらうことが出来ます。介護に関する知識も増えていき、今後の生活に対する不安も少しは解消されると思います。こうしたサービスを上手に活用しながら、より良い介護ができ、介護疲れの軽減にもなると思います。
では、具体的にはどのような相談窓口があるのか見ていきましょう👀
大きくわけて、5つの場所があります。
1.市区町村の窓口
住んでいる市町村役場には保健福祉課や健康福祉課など市町村によって課の呼び名は異なりますが、相談ができる窓口があります。市町村役場内にあります。
相談内容
窓口で介護全般について話し合うことが出来ます。また市町村が行っている高齢者や、障害者に関する介護サービスなどの紹介もしてくれます。
介護保険に関する相談であれば、その場で申請も行えるためスムーズに一連の流れを済ます事が出来ます。
相談相手
市町村役場の職員が話を聞いてくれます。職員の中でも専門知識を持っている介護支援専門員(ケアマネージャー)や社会福祉士などの資格を持っている人が、対応していることが多いです。
相談方法
話を聞いてもらいたいと思えば、市町村役場の窓口に直接行きますが、直接行きにくい場合は電話で内容を話して、電話でそのまま相談を受けてもらえるか、また内容によっては地区の地域包括支援センターへ繋げて、自宅訪問をしてもらえるかもしれません。
2.高齢者総合相談センター
別名シルバー110番と言われるもので都道府県に1つずつ配置された高齢者やその家族のための相談センターです。地域包括支援センターのことを高齢者総合相談センターと呼んでいる所もあります。
相談内容
介護・医療・法律・税金・年金・老人ホームの入所など、高齢者の生活について心配な事は何でも聞いてもらうことが可能です。
相談相手
保健師・弁護士・税理士など内容に応じた職員が対応します。
相談方法
電話や面談で話を聞いてもらえます。プッシュホン電話からでれば「#8080」で、全国どこからも通話が出来るようになっています。
3.保健所・保険センター
保健所は都道府県や政令指定都市、中核都市に配置され、精神保健、難病対策、感染症対策などを行う機関です。また保健センターは、市町村に配置されており、地域住民に対して健康相談や保健指導、予防接種、各種検診などを行っています。
相談内容
保健所では、難病や特定疾患、精神障害、認知症の高齢者などについて話を聞いてもらう事が出来ます。
保健センターでは、老人を含め地域住民の健康相談などを受けています。
相談相手
保健所では保健師・薬剤師・栄養士・精神保健福祉相談員。
保健センターでは、保健師や看護師・栄養士等によって話を聞いて事が出来ます。
相談方法
電話か、直接保健所や保健センターに行きます。自宅に訪問してもらい、話を聞いてもらえる場合もあります。直接行けない時は、電話で確認してみましょう。
4.地域包括支援センター
地域包括支援センターは、地域住民が介護を受けるような状況になっても、できるだけ自分が暮らしてきた地域で、安心して生活出来るよう作られた施設です。
地域包括支援センターでは、要支援判定を受けた方の予防プランの作成や、非該当者も含めた高齢者やその家族のケアや支援を行っています。
相談内容
介護予防サービスの提供を含めた高齢者の保健・医療・福祉等について話し合いが出来ます。また高齢者への虐待や悪徳商法での被害、財産管理ができない時の成年後見制度についても、詳しく話を聞く事が出来ます。
相談相手
専門の知識を持った保健師(福祉経験豊富な看護師)・ケアマネージャー・社会福祉士等が配置されています。
相談方法
電話か、地域包括支援センターに直接行って行います。しかし、相談者が多いこともあり内容によっては、予約が必要になる可能性もある為、まずは電話で確認しましょう。直接行けない場合は、自宅に訪問もしてもらえるので安心です。
5.居宅介護支援事業所
居宅介護支援事業所は、高齢者が在宅で安心して生活が行えるよう、要介護認定の申
請やケアプラン作成などを行っている所です。在宅ケアを行っている人やこれから行う人に、最適な場所と言えます。
相談内容
訪問介護や訪問看護、デイサービスやデイケアサービス、ショートステイなどのサービスの依頼や、福祉用具のレンタルや購入・住宅改修などについて相談できます。
相談相手
ケアマネージャーが相談を受けてくれます。認定が下りれば、担当のケアマネージャーが、詳しく話を聞いて調整してくれるようになります。
相談方法
電話や、事業所に直接行きます。また担当ケアマネージャーが決まった後は、高齢者の状態や生活状況を確認した上でケアプランを立てることが望ましいため、自宅訪問にて話を聞いてもらうことになります。
【地域包括支援センターとは】
厚生労働省は、高齢者ができる限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援といったサービスを一体的に提供する体制を目指す、地域包括ケアシステムの構築を、2025年の実現を目途に進めています。その中核的な機関として、全国の自治体に設置されているのが地域包括支援センターです。地域包括支援センターは、自治体または自治体から委託を受けた在宅介護支援センターの設置者や社会福祉法人、医療法人、NPO法人などが運営しています。地域包括支援センターには保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーといった専門家が配置されています。①「介護予防ケアマネジメント」②「総合相談・支援」③「権利擁護」④「包括的・継続的ケアマネジメント支援」の4つの業務を一体的に実施する役割を担っています。
【地域包括支援センターの業務内容】
① 介護予防ケアマネジメント
支援1、2と認定された高齢者が、要介護状態になる事を防ぐ(遅らせる)為に、介護予防に向けたケアプランの検討・作成の支援を行います。高齢者ができる限り自立した日常生活を送るために、現在置かれている環境や心身の状況に応じた介護サービスの利用方法、日常生活動作(ADL)の維持・向上に繋がるプログラムなどを本人と話し合いながら必要なケアをマネジメントしていきます。要介護認定の申請をしていない方や、申請後に非該当と判定された方向けに介護予防教室なども行っています。
② 総合相談・支援
高齢者やその家族、近隣に住む方から様々な相談を受け、必要に応じてサービスの紹介や具体的なアドバイスを行います。高齢者自身の相談だけでなく、家族や同じ地域に住む人の相談も受け付けているため、父に認知症のような症状が出始めたがどうすればいいかわからない、離れた場所に住む母の介護が必要になったが仕事があって通うことが難しい、近くに住む一人暮らしのおばあちゃんを最近見かけないので心配といった幅広い相談が可能で、高齢者のための総合相談窓口となっています。
③ 権利擁護
高齢者のあらゆる権利を守ることも、地域包括支援センターの役割のひとつです。介護を必要とする高齢者は、財産の管理や保険の契約、法的な手続きなどが難しくなってきます。
地域包括支援センターでは、周囲の人が後見人となって財産等の大切なものを守る成年後見制度についての相談や手続きの支援を行っています。また、高齢者を狙った悪徳商法や詐欺などの対応も行っています。その他にも、高齢者の虐待の早期発見や防止にも取り組んでいます。
④ 包括的・継続的ケアマネジメント支援
年齢や身体状況の変化などに応じたケアマネジメントを行い、住み慣れた地 域で出来るだけ長く暮らし続けられるようにサポートします。医療機関や介 護サービス事業者と連携し、利用者の状況に合うケアプランを提案します。高 齢者を支えるケアマネジャーのスキルアップを目指して、ケアマネジャーを対象とした研修会や個別指導などの支援も行っています。
【地域包括支援センターにいる専門家】
● 保健師(看護師)
保健師は、「介護予防ケアマネジメント」の業務を主に担当しています。
保健所や病院と連携して高齢者本人やその家族からの相談に対応し、介護予防プランの作成や身体状況の悪化防止、要介護状態への予防対策などを行います。
健康づくり教室を開催するなど、地域住民の健康を考えた活動も保健師の役割のひとつです。
- 社会福祉士
社会福祉士は、「総合相談・支援」の対応と、高齢者の権利を守る「権利 擁護」の業務を主に担当しています。高齢者やその家族、地域住民からの様々な相談の窓口となり、電話での相談にも対応してくれます。また、高齢者のいる自宅や施設の訪問、一人暮らしの方や高齢夫婦の安否確認、高齢者向けの詐欺被害や虐待問題の解決にも取り組んでいます。その他にも、成年後見制度の手続き支援を行うなど、行政や他の専門機関と連携を図りながら高齢者をサポートします。
● 主任ケアマネジャー
主任ケアマネジャーは、「包括的・継続的ケアマネジメント支援」の業
務を主に担当しています。介護全般に関わる相談に対応しており、介護サービス事業者と連携しながらケアマネジャーの支援などを行っています。新人ケアマネジャーへのアドバイスや、ケアプラン作成時の支援や相談も行います。多職種が集まって、より良い地域包括ケアに向けた話し合いを行う「地域ケア会議」の開催も、主任ケアマネジャーが行う業務の一つです。
「居宅介護支援事業所」と「域包括支援センター」との違い
【居宅介護支援事業所】
居宅介護支援事業所は、ケアプランの作成や介護サービス事業者との連絡調整などを行い、必要に応じてケアプランの見直しをするなどのサービスを提供しています。ただし、利用対象は要介護1以上の認定を受けた方に限られています。
【地域包括支援センター】
地域包括支援センターは、全ての高齢者とその家族、地域住民を対象に支援を行っており、日常生活を送る上での困り事や、介護に関する質問など、様々な相談を受け付けています。要介護認定の申請や介護保険制度を利用するための手続きなど、介護サービスに関する最初の相談窓口としての役割も担っています。
介護の相談内容にあった場所を選ぶことが重要
施設を利用するのは周りの目があって恥ずかしい、介護は長男の嫁がするものといった考えを持っている方が多い地域もあります。
しかし、介護は終わりが見えないと言われるように長く続くものであり、限定された人だけが抱え込んでしまうと共倒れになる危険もあり、早めに専門家の意見を取り入れることが重要です。
介護と言っても高齢者ばかりではなく、また高齢者であっても認知症を持っている方とそうでない方では、対応が間違っています。
どう対応してよいか話を聞く施設は先に説明したようにいくつもありますが、それぞれの施設にあった専門家が配置されています。そのため、どこに行っても良いのではなく、自分が相談したい内容にあった場所を選ぶようにしましょう。
介護に疲れたときのポイント
●介護については「地域包括支援センター」が総合的な相談に乗ってくれる。
●地域包括支援センターには、社会福祉士、保健師、主任ケアマネージャーが常駐しており、
内容に応じてそれぞれの分野で相談できる。
●相談を受ける為だけであれば、どの施設を利用しても費用がかかることはありません。
しかしサービスを受けたり紹介を受けたりする場合、別途費用がかかることもあるので問い合わせが必要。
●デイサービスセンターを利用し、ひとときだけでも自分のための時間を作ることが大切。
●お風呂やトイレなどの介助で体が疲れた時は、助けを借りることが大切。
●心が疲れてしまったら、診療内科を受診したり、カウンセリングを受けて悩みを吐き出す
ことも大切。